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EYC通信 #29

随筆「海の言葉」㉔”ツインデッキ”

「ツインデッキ」
最近の撒積船や鉱石船は、みんな甲板は一枚で、船艙の中は甲板から船底までガランドウの構造になっております。これは撒積貨物を満船積するには最も適した構造なのですが、在来貨物船など雑貨を何種類も積み付けるような船では、これでは具合が悪いので、船内に二段目、三段目の甲板を張り、棚を設けたような構造にしております。この様な構造を「ツインデッキ」と呼びます。船乗りの訛りでは、「テンデッキ」です。

この「ツインデッキ」のことを、“TWIN DECK”だと思っている人が意外と多いようです。専門書までに、こう綴っているのを見かけますが、飛んでもない間違いです。“TWIN SCREW”は「双暗車」のことです。船尾の左右に対称形に二軸、二個のスクリューがあり、夫々反対方向に回転します。“TWIN HATCH”は「二列艙口」です。右舷と左舷とに、同じ形状、同じ大きさの艙口が対象的に配置されます。“TWIN”の本質は、このように「相似」「対象」であって、まさに「双子」を意味するのです。「ツインデッキ」の場合には、「上の甲板」に似た」「下の甲板」があるのですが、これは必ずしも「相似」では無いし、あくまでも「上下の関係」で、「左右」ではありません。「双子」では無く、普通の「兄弟」です。

「ツインデッキ」の「ツイン」は“TWEEN”です。“TWEEN”とは、“BETWEEN”の省略なのです。“BETWEEN”とは、ご承知の通り、「(AとBとの)間に」であって、二つの「物」の中間を表します。「ツインデッキ」は「デッキの間」ですから、この場合の「デッキ」は一枚の“DECK”では意味が通りません。当然、「上と下の二枚の甲板」即ち“DECKS”でなければならないのです。実際に一般辞書に載っている言葉は、“TWEEN DECKSであり、訳語は「甲板間の場所」です。つまり、「ツインデッキ」は「デッキ」では無く、「空間・スペース」なのです。

それでは、一般の辞書には無い“TWEEEN DECK”と言う名称は全くの誤りかと言えば、必ずしもそうとは言えません。海運関係の辞書や、解説書には、「中間甲板」「下部甲板」の名称として“TWEEN DECK」が使われておりますから、実務上の言葉としては立派に通用しているとみて良いでしょう。しかし、船体構造上から見た甲板の名称は、“MAIN DECK”を基準として決められているので、“MAIN DECK”より下にあるのは、SECOND DECK”.“THIRD DECK”と呼ぶのが正しく、また“MAIN DECK”の上にある“DECK”には、“SHELTER DECK”など、その形状に応じた色々な名称がつけられます。

「ツインデッキスペース」を持つ船を、俗に“TWEEN DECKER“と呼びますが、これも、“TWO DECKER“或いは“SHELTER DECKER“が正しいのです。

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