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EYC通信 #59

随筆「海の言葉」㊷“RUDDER”と“LADDER”

“RUDDER”と“LADDER”

“RUDDER”「舵」は元来は“ROW”「漕ぐ」から発生した言葉で、したがって原意は「漕ぐ道具」であったそうです。

昔の手漕ぎの舟では、「漕ぐ道具」を利用して方向を定めたのですが、次第に進化して「推進力」と「方向舵」に分化し、“RUDDER”の名称は専ら「方向舵」を意味することになりました。

昔の日本語でも「かぢ」は「梶」「楫」「櫂」などの文字があてられ、いずれも舟を「漕ぐ道具」でありましたが、時代が下がって「舵」となって、正式の「方向舵」を意味することとなります。

ここで一寸注意せねばならぬことは、「かぢ」は「舵」と「舵柄」をひっくるめた名称であるのに対し、“RUDDER”はあくまでも「舵」であって、“舵柄”は“HELM”或いは”TILLER”と呼ばれることです。

したがって、「かぢとり」は、“HELMUSMAN”で、“RUDDERSMAN”ではありません。

“RUDDER”は普通は舟の最後尾につけられるものでありますが、その役目は船の方向を定めるものですから、転じて「指導者」「指導原理」となります。

“RUDDER FISH”は、別名“PILOT FISH”で、船につれて群れを成して泳ぎます。

小型ヨットで無風の時に、舵を動かして「漕ぐ」テクニックがあります。これは、レース規則違反なのですが、俗に「ラダーリング」と言います。“RUDDER”は名詞ですから、「ラダーリング」とは、勿論間違った英語ですが、案外”RUDDER”の原意をつかんだ使い方かも知りません。

同じような「ラダー」ですが、“LADDER”は全く別物です。「段々梯子」のことですが、その格好が似ているので、絹の靴下の「ひっかききず」、つまり俗称「伝染病」をも指すとのことです。

本船の“LADDER”で、一番目に付くのは、舷側から岸壁や水面に下ろす「舷側梯子」です。英語では、“ACCOMODATIN LADDER“または

“GANGWAY LADDER”と呼びますが、日本ではふつう「舷梯」とか「タラップ」と呼んでおります。

「タラップ」とは、“TRAP”のことで、元来は「わな」「おとし穴」でした。転じて「鉱山の通風口」となり、更に「床につけた跳ね上げ戸」となります。

複数に使われた場合には、「踏み台」とか、「きゃたつ」の意味になります。

舷側から垂直に水面に吊り下げる「縄梯子」は、俗に「ジャコップ」と呼ばれます。

これは正しくは“JACOB’S LADDER”で、旧約聖書にあるヤコブが夢の中で天使が昇るのを見た「縄ばしご」がその語源です。

“PILOT”を乗船させるための「はしご」は、“PILOT LADDER”、

“CARGO HOLD”「貨物艙」の中の「はしご」は、“HOLD LADDER”、いづれも近年は基準が厳しくなっております。

大日本帝国海軍では、「はしご」のことを「ラッタル」と呼びました。これは“LADDER”の「なまり」だとの説がありますが、定かではありません。

 

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