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EYC通信 #64

随筆「海の言葉」㊻“KING”

KING

“KING”

 

イギリスは1500年もの間、“KING”「王様」が君臨している

“KINGDOM”「王国」なのですが、船乗り達が“KING’S……”と

名付けたものには、ロクなものはありません。

帆船時代の主要な保存食料は「塩漬け肉」でしたが、決して上等な食物とは言い難かったようです。船乗りがいろいろと仇名をつけているのですが、その一つが“KING’S OWN”。 「王様の所有物」だから、有難く頂戴しろと言うことでしょう。

戦争ともなれば、乗組員を揃えるために、“PRESS-GANG”「強制徴募隊」が出動します。運悪く掴まった連中が、“KIG’S BARGAIN”。

ただでさらって来るのだから“BARGAIN”「安い買い物」に間違いないのですが、“KING’S BAD BARGAIN”「役立たず」が多かったようです。

船乗りのなかには、仲間を集めてくだらない演説をぶつ奴がいたようで、

“KING’S BENCHER”と呼ばれました。

“KING’S BENCH”(または”QUEEN’S BENCH”)とは、海事判例で知られている高等裁判所です。

“KING’S……”では無く、“KING……”となれば、「重要な~」の意味なります。

“KING POST”は、甲板を下から支える太い支柱や、甲板用のデリック用の支柱のことです。

“KING PLANK“は、甲板の中心線上の板のこと。普通のデッキ板は、縦方向に細長いものを、左右舷に沿って敷き詰めますから、中心船上の

 

“KING PLANK“には、クリスマスツリーのような切込みが入ります。“STEERING WHEEL”「舵輪」の外側には6本から10本の

「取っ手」“SPOKE”が付きますが、舵を中央にとった時に真上に来る“SPOKE”には金属板やロープなどで目印を付けます。これを

“KING SPOKE”と呼びます。

「キングストン」もよく聞く名前です。

『キングストンを抜けば、船に水が入って沈没する』などと言う人がいますが・・・。

「キング」=「重要な」は良いとしても、「ストン」は「ストンと抜く???」ことでしょうか。

実は、「キングストン」と言う『物』はないのです。

これは、“KINGSTON VALVE“を省略した日本語なのです。

日本の専門辞書によれば“KINGSTON VALVE”とは「キングストン弁」「海水弁」などとなっており、主機冷却用の大型の船底海水取入弁を指すことが多いようです。

某メーカーの小型エンジン取扱説明書には、「キングストンコック」なる名称も使われております。

ところが、外国の辞書によれば、“KINGSTON VALVE”とは、潜水艦のバラストタンクの「排出弁」として作られた特殊な“VALVE”であって、その名称は、メーカーの名前に由来する、いわば商品名であるとのことです。

どうして、排水用の特殊バルブの商品名が、日本では取水弁の一般名称に化けてしまったのか、専門の方に伺ってみたいものです。

 

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