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EYC通信 #9

随筆「海の言葉」⑦“BOSUN”

“BOSUN”

“CAPTAIN”や“MATE”に続いて、船内重要人物の一人、「ボースン」です。
「ボースン」は、昔は「水夫長」、今では「甲板長」と呼ばれ、「甲板部」の最古参、船内業務の中心でもあります。
俗語で言う“SALT”な(塩気のある)“OLD TAR”とか“SHELL BACK ”
(老練な水夫)の典型と言えましょう。
ところが、この「ボースン」なる呼び名の語源は「最古参」のイメージとは、少し違うようです。

「ボースン」の正しいスペリングが“BOATSWAIN”であることは、ご存知の方が多いでしょう。
“BOAT”とは、もう完全に日本語になっている「ボート」です。
“SWAIN”とは普通にはあまり使われない言葉ですが、「田舎の若者」のことで、「恋人」とか「求婚者」、あるいは古い流行歌にある「村中で一番のモボ」などの意味に使われます。
だから、“BOATSWAIN”は「ボート係の若者」で、なんだか「駆け出しの水夫」みたいな感じもします。
(“SWAIN”は「スウエイン」と発音します。間違えて「スワイン」と言うと“SWINE”即ち「豚」「卑劣漢」になってしまします。)

ところが、これは「ボート」の重要度が、昔と今では全く違うからです。現代では「ボート」と言う呼び名は、極めて広い範囲に使われております。大型の外航貨物船でも“CARGO BOAT”と呼びます。しかし一般に“BOAT”と言えば、小型の舟艇、即ちサービスボート、プレジャーボート、ライフボートなどを指すことが多いようです。
本船に積まれている「ボート」は「救命艇」であって、実際に使用されることはめったにありません。
帆船時代には、港の岸壁設備などは殆ど無かったので、乗組員の上下船や食料や荷物の積み卸しは、もっぱら本船に積んでいる小舟で行われました。
風が無いときには小舟を漕いで本船を曳航することもありましたし、戦争で敵の港や船に切り込むのにも小舟が使われました。
              ⚓
このような目的の為に、大型帆船には普通は三種類の小舟が積まれており、大きさの順番に、夫々“BOAT”、“COCK”、“SKIFF”と呼ばれておりました。
“BOATは、本船に欠くべからざる小舟のうちで、最も大きく、したがって最も重要なものであったのです。
              ⚓
本船の乗組員も、夫々の経験や能力に応じて、三種類の小舟に配置されており、夫々の「舵手」には“SWAIN”の名称が与えられました。
つまり、“BOATSWAIN”は、もっとも大型の艇の舵手ですから、当然本船のベテラン中のベテランであったのです。 
               ⚓
この呼び名も段々と訛って、“BOSON”、“BOSSEN”などと変化し、今日の“BOSUN“に至りました。
“COCKSWAIN”は“COXWAIN”と変化し、今では“COCKS”(コックス。競走用ボートの舵手)として残っております。
“SKIFFSWAIN”は、いつの間にか、廃れてしまったようです。

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