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EYC通信 #49

随筆「海の言葉」㊱“TURN”

“TURN”

水泳やダンスの「ターン」や、「Uターン禁止」などでわかるように、“TURN”は「方向を変える」「回る」ことです。船の場合には大角度で「回頭」することが、“TURN”です。港の中や航路筋などで、「回頭」するための広い水域を“TURNING BAISIN”「回答水域」と呼びます。

帆船は風が正面から吹いていては走ることが出来ません。斜め前方から風を受けて、風に一定の角度(45度~60度)を保って走るのが精一杯です。したがって風上の目標に辿り着くためには、風に向かっての回答を繰り返して、ジグザグの針路をとります。この回頭が “TACKING” 「上手回し」ですが、別名”TURN ABOUT”とも呼びます。

“タンツーかかれの号令に
がしゃがしゃサイドに押しやられ、
七つのお鐘が鳴るまでは、
プープデッキを這いまわる。”
練習帆船では、毎朝チークデッキに砂と水を撒き、石や椰子の実でゴシゴシと磨き上げます。これが「タンツー」です。デッキの上を行ったり来たりするから”TURN TO” かと思ったら大間違いで、これは“TURN TO WORK” 「仕事を始める」で、朝一番の作業のことです。

荷役人夫の使う俗語に「トンボ」と言うのがあります。木箱などを「ひっくり返す」ことでありますし、また荷役作業時間中に一つのハッチから他のハッチに「移動」することを指すこともあります。一説によれば、この「トンボ」とは、“TURN OVER”「ひっくり返す」の訛りだというのですが、これはちょっと出来すぎた話で、やはり日本語の「トンボ返り」からきた言葉ではないでしょうか。

“It is your turn”「あなたの番ですよ」のように、 “TURN” には「順番」の意味もあります。港が混雑しているときは、船の着岸、着埠や荷役、補油水などの順番は、“TURN OF ARRIVAL”「入港順序」によるのが原則です。但し、港によっては、客船や生鮮食料揚荷船などに、“PRIORITY”「優先権」つまり”SPECIAL TURN”を与えることがあります。荷主の方にも色々と都合があるので、入港順序を無視して後の船を先に荷役させたいこともあります。しかし船会社としては、あまり勝手に順番を替えられては困るので、通常の航海用船契約(運送契約)では必ず“IN REGULAR TURN”或いは“IN USUAL TURN”「通常の順番で」荷役を開始すべき旨の取決めをします。

用船契約では、積揚地で“N/R”「荷役準備整頓通知」が“TENDER”「提出」されると、一定の“ALLOWANCE TIME”を経て”LAYTIME”「荷役許容時間」の計算が“COMMENCE”「開始」されます。例えば、午前中に“N/R TENNDER”すれば、午後一時から計算開始、午後にN/R TENDER”すれば、翌朝八時に計算開始とするなどです。この様な”ALLOWANCE TIME”、即ち「荷役開始前許容期間」のことを“TURN TIME”と呼びます。ただし、これは正式の辞書や専門書にはない言葉で、一種の実務俗語でしょうか。

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