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EYC通信 #15

随筆「海の言葉」⑫ “PORT”と“STARBOARD”

“PORT”と“STARBOARD”
“PORT”が、「港」であると同時に、「船」の「左舷」を指す言葉であ
ることは、皆さんよくご存じのことです。
それでは、何故「左舷」を“PORT”と言うのか、それには先ず「右舷」
“STARBOARD”の由来が必要です。

昔の北欧の船では、船尾右舷側から大きな「かい」のような舵が後方に
突き出されていました。舵手は常に右舷側に立って、“steer”「舵をと
って」いたので、右舷を“STEER-BOARD”、即ち“STARBOARD”
と呼ぶことになりました。
現代の船で、船長や一等航海士の部屋は常に右舷側に配置されておりま
すが、これはこの時代の名残だとのことです。

これに対し、反対舷、即ち「左舷」は、元来は、“LARBOARD”と呼
ばれました。その語源については、二つの説があります。
一つは、舵手に「背後」(BACK)にあたる「舷」(BOARD)であるか
ら“BACK-BOARD”で、これが“LAR―BOARD”と変化したのだと
言います。しかしこの説はあまり一般的ではありません。

船を岸壁につけるときは、舵が岸壁にあたらないように、常に左舷着け
になりますので、荷物は必ず左舷から積みます。そこで「左舷」のこと
を、「荷物を積む」(LADE)「舷」(BOARD)即ち“LADE―BOARD”
と呼び、これがなまって“LARBOARD”になったと言います。
どうもこの説のほうが、素直なような気がします。

ところが、この“LARBOARD”は、発音が“STERBOARD によく似
ているので、聞き間違えることが多く、色々と不便でありました。
そこで、特に操舵の命令には、“LARBOARD”の代わりに“PORT”
が使われ始めました。
そのいわれは、もうお判りのとおり「左舷」は「港(PORT)に面する
舷」でありましたし、また、人が乗り降りするための「舷門」は、いず
れも、“PORT”と呼ばれて、左舷側にあったからです。
この“PORT”の名称は、最初は略式のもので、正式には“LARBOARD”
が使われていたのですが、1844 年に英国海軍が正式に“LARBOARD”
を廃して“PORT”を使用することを決め、これが次第に世界中の商船
に及びました。

船舶が夜間航海するときは、マスト上には「白灯」、左舷には「赤灯」、
右舷には「緑灯」を点灯します。
明治五年に、太政官布告でこの「灯火制度」が命ぜられた際の注意書き
があります。
『 「大船にともすともしび上は白、右は緑に左くれない」
此ノ歌ヲ暗記シ置クベシ但シミギノ美ノ字ハミドリノミノ字ナ
レバ覚ヘ易シ又英(イギリス)亜(アメリカ)等ニテハ「ポー
トワイン」(ポート産ノ赤酒)ハ赤シト云ウコトヲ記憶スベシ
ト云エリ是レ左舷(ポート)ト「ポートワイン」ノ語ヨク対シ
テ共ニ赤キヲ以テナリ』
何分「太政官」が書かれた文章ですから、格調が高いのは当然ですが
若い方には判読困難かもしれませんが。

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