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EYC通信 #23

随筆「海の言葉」⑲”SEAMAN”

“SEAMAN”
“SEAMAN”は、直訳すれば「海の男」ですが、「水夫」「船乗り」「船員」「海員」など、いろいろの訳語があります。それぞれ少しずつ感じが違いますが、どれが一番適切なのでしょうか。日本の法律の「船員法」では、『船員』と「海員」とを明確に区分しています。これに依りますと、『船員』とは「船長」と「海員」と「予備船員」を合わせた総称であり、また「海員」とは「船内で使用される、船長以外の乗組員」と定義されております。つまり、「船長」は『船員』ではあるが「海員」ではありません。また、便乗者や船客が『船員』でないのは当然としても、船主の家族が乗り組んで働く「家族船員」や、単に航海をしたり船で働いたりすることを楽しむために無償で乗り組む人たちまで、『船員』でも「海員」でもないことになります。 実習生の場合などは、解釈が難しくなります。

英国で最初の船員法が定められたのは12世紀初頭の事でした。このころは冒険航海の時代で、乗り組み全員が一蓮托生の航海を行ったのですから、雇われの船員は居なかったのです。従って船客や上乗り人も含めた乗組員すべてが、「一緒にパンを食べる仲間」を意味する“COMPANY”とか“COMPANION”の名称で呼ばれておりました。

大航海時代に入り、航海術が発達するにつれて、“MARINER”の名称が使われるようになりました。ただしこの“MARINER”とは「航海技術者」「熟練船員」の感じが強く“SAILOR”や“CREW”などの「未熟練船員」とは区別して使われることが多かったようです。


時代が下がって船員法も労働者保護法の色彩を強め、「雇われ船員」を指す名称として“SEAMAN”が使われるようになります。この“SEAMAN”を直訳したのが「海員」です。現在の英国でも法規がいろいろあって、“SEAMAN”の範囲が少しずつ違っております。乗組員全員を指す場合、船長と水先人を除外する場合、更に実習生を除外する場合、などです。そもそもこの“SEAMAN”とは、元来“LANDSMAN”「陸上生活者」に対応する名称だったのですが、船乗りの中では、おなじ船上で生活する仲間でも、船客や上乗り人、その従者たち、更には未熟練船員たちを軽侮の意味を込めて、“LANDSMAN”と呼ぶことが多かったようです。

現在の商船で実際に“SEAMAN”と呼ばれるのは甲板部の甲板員です。経験3年未満が“ORDINARY SEAMAN”、3年以上が“A.B.SEAMAN”です。“A.B.SEAMAN”は、正式に“ABLE-BODIED-SEAMAN”なのですが、俗には、“ABLE-SEAMA”とも呼ばれます。

海上保安庁に女性船長が出現する世の中となっては、“SEAMAN”の名称も改めなければなりません。最近の国際条約では、“SEAMAN”に代わって“SEA-FARER”なる名称が使われております。新しい時代の感覚と申せましょう。

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