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EYC通信 #25

随筆「海の言葉」㉑”DRAFT”

“DRAFT”

プロ野球で、毎年シーズンが終わると話題になるのが「ドラフト」です。この「ドラフト」とは、そもそもアメリカの「徴兵制度」のことなのです。

「ドラフト」とは、動詞の“DRAW”が名詞になったもので、本来の英語では、“DRAUGHT”と綴るのですが、アメリかでは“DRAFT”と簡略化して、今ではこの方が一般的になっております。動詞から名詞が生まれる時の、似たような例では、“FLY”「飛ぶ」―――“FLIGHT”「飛行」“GIVE「与える」――”GIFT“「贈物」などがあります。

“DRAW”は、感覚的に言えば、日本語の「引く」にあたります。つまり、「(綱などを)ひく」「(剣やピストルを)引き抜く」「(注目を)ひく」「(息を)吸う」「(くじを)ひく」「(銀行から金を)引き出す」「(勝負を)引き分ける」などです。“DRAW”は、名詞として使われることもあります。「引き分け」とか「くじ引き」、或いは玉突きの「引き玉」などです。ゴルフの「ドロー」も同じです。“DRAWERS”となれば「引きだし」や「ももひき」です。

“DRAFT”(DRAUGHT)は、「引くもの」「引かれるもの」です。「線引きの略図」や「書類の下書き」は、日本語でも「ドラフト」で通用します。銀行から金を引き出す「手形」も“DRAFT”です。「樽から引き出したビール」つまり「生ビール」は“DRAUGHT BEER”です。この場合は、“DRAFT”と綴りません。「徴兵制度」や、プロ野球の「ドラフト」も、「くじ引き」するのか、「引っ張りこむ」のかは知りませんが、いずれにせよご本人の意思に逆らって“DRAW”する制度です。


海事用語としての“DRAFT”は、船の「喫水」のことです。これはもう申すまでもなく、水面から船底までの深さのことで、積荷や燃料油などの増減などにより、都度変化するものです。アルキメデスの原理により、船が水に浮かぶためには、船の重量に等しい量の水を「排水」しなければなりません。逆に言えば、一定の深さまで船は沈み込まなければならないのです。

この「沈み込む」ことを、英語では“DRAW WATER”即ち「水を引く」と感じるのでしょう。“The ship draws 30 feet of water”「本船は30フィート喫水をしている。」のような表現になります。この“DRAW”される「深さ」が即ち“DRAFT”です。

今の日本語の「喫水」(または「吃水」)は、「船が水をくらう」「水を喫う」で、英語感覚と共通しています。しかしこの言葉は元来は漢語で、いわば中国人の感覚なのです。それでは、大和古来の日本人はどう感じたかと言えば、どうも船は水の中で「立って」いたらしい。したがって“DRAFT”に相当する言葉は「船脚」であったようです。いまだに、日本の船員は「脚が深い」とか、「あしを作る」(バラストなどを積んで、或る程度“DRAFT”を深くする)などと言いますが、やはり日本男児だなと感じさせられます。

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